映画「モリのいる場所」は晩年の熊谷守一夫婦を描いた作品である。この映画のことは、今年の1月に東京国立近代美術館で熊谷守一展を観たときに、ポスターで知った。

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5月19日に公開されてから1ヶ月。まもなく上映終了の今日は朝8:30から1回のみという上映だった。会社に行く平日より早く家を出た。

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熊谷守一は岐阜県付知生まれの画家である。1月の拙ブログに書いたようにピカソとほぼ同年代を生きた。晩年の守一は、豊島区の自宅の庭だけを観察フィールドとした。

この映画は、94歳の守一と彼を支えた妻秀子が過ごした時間を、少しだけ垣間見せてくれたような作品だった。ほのぼのとして、楽しい。ある意味、理想の夫婦だと思う。

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毎朝、守一は「行ってきます」と家を出る。秀子は「お気をつけて」と送り出す。

しかし、守一が向かうのは自宅の、さほど広くない庭の中だ。守一はその庭で1日を過ごす。こうした暮らしを30年以上続けたらしい。

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守一は庭の動植物を執拗に観察する。庭には守一が30年かけて堀った穴があり、底の池には魚が棲んでいる。

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美術展で観た、単純化された線と面の作品は、根気強い観察から生まれていた。

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守一が掘った穴の中の夫婦。二人には幼子を亡くした辛い過去もある。

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勲章なんかもらったら来客が増えて母ちゃん(秀子)が忙しくなる。だから要らないと、守一は文化勲章を断った。

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